保険の公平・不公平?
全員が同じ金額を出すのは不公平?
お互いお金を積み立てて万が一の事態に備えることにした100人の村。
ある時、お金を出している一人の若者(20歳)がこんなことを言いました。
「みんな同じ金額を出し合ってるけど、99歳の最長老と20歳の俺が同じ金額を出すのは納得がいかない。
長老は今は元気ハツラツだけど、20歳の俺と比べると、万が一のことが起こる可能性が高い。
長老の方が、結局は少ない支払いでお金を受け取ることになるから不公平だ」
かなり失礼なことを言っていますが、よく考えれば確かにそのとおりです。
そこで村長さんは言いました。 「じゃあ、年齢に応じて払うお金を変えよう」
それを聞いた人々は言いました。
「隣のおじさんは毎日タバコを200本吸ってる。そのうち肺がんになるかもしれない」
「お向かいのおばさんは重い病を患った。今は元気だけど、いつ再発するか分からない。」
「斜め前の若者はF1レーサーだ、危険と隣りあわせで事故にあう可能性が高い。」
もう収拾つきません
人によって「万一のことが起こる可能性」にばらつきがあるのは当たり前です。
「万一のことが起こる確率」が違うということは、「万が一のとき、お金をもらう確率」も違うということですから、同じ金額を出し合うというのは確かに不公平です。
村長さんは言いました。
「じゃあ個人の『生命の危険度』を具体的に数値にして、それを元に払う金額を決めよう」
そこで、「若い人」、「健康な人」、「生命の危険のあまりない仕事をしている人」は払う金額(=保険料)を少なくし、逆に「高齢の人」、「不健康な人」、「危険な仕事をしている人」にはより多くのお金を払ってもらうことになりました。
「更新時に保険料が高くなった」
「○○の病歴があるから保険加入を断られた」
と言う話を聞いたことはありませんか?
更新時に保険料が上がったのは、更新前と比べて歳を取ったから。
(誰しも歳を取るにつれて確実に寿命に近づいてるわけだから『生命の危険度』は上がりますよね?)
持病のせいで加入を断られる(あるいは高額な保険料を支払う)のは、病気によって『生命の危険度』が高くなっているからです。
みなさんだって生命の危険が高い人ばかりが加入している保険には入りたくないでしょう?
せっかくお金を出し合っても、保険金を支払う回数が多ければ、その分積み立てたお金は減っていくので、より多くの金額を積み立てなければいけません。
生命保険会社のCMで 「誰でも入れます。審査は一切なし!」 なんて言っているのがありますが、若くて健康な人はこの手の保険には入ってはいけません。
(大抵この手の保険は高齢者向けの保険なので、若い人は入れないようになっていますが……)